今回、中級レベルのコースでアニメ(『千と千尋の神隠し』)を中心教材にし、日本語5技能(4技能+文化)を伸ばす試みを行っている。このレベルでは、教科書に載っている短い読み物を読むことが多いが、当コースでは、アニメをテキスト化した長編の読み物を中心に据え、映像も授業中の練習、授業外の宿題として取り入れた。このテキストは擬音語擬態語、複合動詞を多く含み、自然な日本語を学べることが期待される。
授業では、絵をふんだんに使って内容を把握させ、内容や文化的背景についてディスカッションをさせている。ドリルでは映像を見ながら言葉の練習をし、絵を並べ、接続詞などを使い、文をつなげて要約する練習を行っている。宿題として要約を録音、提出させ、内容以外に発音指導にも使っている。テキストの音読練習を奨励し、phrasingなどの発音の向上を目指している。
学期の中間アンケートで、学生から、長編を読んでいることで読むことに自信がついたという評価を得ている一方、基本文法を終えたばかりの彼らにとって、新出語彙、漢字の学習が非常に大変であるというコメントを得ている。
中間試験の結果から、段落レベルで要約したり、意見を表現できるようになっていることが分かった。長編アニメのストーリー性が、文レベルでとどまっていた学生の能力を段落レベルにまで引き上げることを助けていると思われる。また発音でphrasingが上達しており、音読練習の効果が上がっていることを伺わせた。学期後半ではアニメに関する自由研究も行い、その作業を通し、意見文が書けるよう指導する。
このようなアニメを中心にした授業で学生の日本語能力を総合的にどこまで伸ばせるか報告したい。