早稲田大学で実施した日本語中上級レベル対象の日本語会話の分析 活動クラスの授業実践の意義と学習者の主体的学びの実態について分析報告する 。本授業では、学習者自身と日本語母語話者による撮影した会話データやドラマ 、バラエティー番組等の会話データの中で、どのようなことが起こっているのか について討論し、その分析結果をレポートにまとめ、クラスで発表するという活 動を行う。また、授業内外で日本語母語話者の学生がボランティアとして学習者 の授業課題の支援を行っていた。
このような会話分析の活動を日本語で行うことによって、学習者が自分自身や 日本語母語話者の日本語の会話を客観的に分析して、日本語の会話を観察する視 点を身につけ、日本語でのコミュニケーションに役に立てるようにする、という ことを目指した。これは、留学中に触れる日本語使用実態について客観的に分析 し、また、自己の言語能力を客観的にモニターしていく学習ストラテジー(Oxford 1990 )を用いて、より多くの学びを自ら作り上げていく力を養うことにつながるとい える。また、日本語を用いて、討論し、発表し、レポートを作成するような、ア カデミックレベルでの日本語の「実際使用」(ネウストプニー1995)の機会を与 えることにもなるといえる。
学習者が日本語の会話を分析した項目は、あいづち、うなずき、笑い、コメント 、繰り返しの機能、スピーチスタイルシフト、敬語、非言語行動、会話の構造、 話題の進め方等であった。これらは、中井・大場・土井(2004)の「談話レベル での会話教育指導項目案」の項目自体を学習者が主体的に分析・学習していく過 程を実現しているといえる。