バイリンガル家庭(国際結婚家庭)子女の継承語教育は米国大都市においては補習校や継承日本語学校などが受け皿となっているが、中小都市においては補習校に頼るしか道はない。しかし先行研究によりその補習校が必ずしも継承語話者のニーズを満たしているとは限らない現状が判明している。
2003年と2005年の2年間にわたる会話力テストの結果分析と、2006年度に実施した読書力調査の結果より年少継承語話者の日本語力獲得の状況と補習校での学習との関係を考察した。その結果、1)少数ではあるが日本国内の児童と同等またはそれ以上の力を持つもの、2)時間さえかければ国内児童に近い実力を発揮できる児童、3)日本語学習を中断したために会話力は高くても惨澹たる読書力調査の結果に終った生徒、4)読書力獲得段階(Daswani 1999)の段階3から4への移行の難度の高さが判明した。これを踏まえ母親インタビューを実施し、年齢別日本語接触度と母親からみた当該子女の日本語力の推移を調査した。本発表はこの調査により親と児童生徒との関係が日本語力におよぼす影響を考察し、かれらに必要な日本語力のレベル、スタンダーズの構築を目指すものである。
バイリンガル家庭において、年少者に継承語教育を施すには親の確固たる信念と 毅然とした態度が必要不可欠であるが、それを続けることは至難の技でもある。年少継承語話者スタンダーズが構築されれば、「目安」をもつことにより継承語学習からの脱落を防ぎ、貴重なバイリンガルという人的資源を育てより増やすことができるのではないであろうか。