本発表では、2006年秋学期開講の「日本語短編講読講座」(大学レベル) に関し、その主旨、教材、授業形体、評価法、調査結果等を説明する。当講座では「全国学習基準」の5Cを指針とし、7ジャンル (昔話、小説、ショートショート等)、30の作品を使用。日本語を読む喜びを発見させ、読解ストラテジーの指導を含む速読能力の育成が主目的である。その他、日本的発想・表現の学習、擬音語・擬態語の独習、日本語能力試験の準備、ビデオの視聴、受講者による「短編」作成等を盛り込み、受容・産出両技能を重視。形式としては、各受講者が担当箇所内の単語や漢字を調べて来て授業に臨み、音読し、他の受講者からの質問に答える。「学習者がより多くの責任を持つことにより、より多くの学習が可能になり、教師も学習者も成功の念をより強く感じる」(Oxford 1990:11) からである。この形体により多読が可能になり、80分授業で100-120行 (7-8頁) 読む。2004年開講の第一回講座の反省・調査結果に鑑み、あらゆる面で改訂を加えた。
5C実践の概略は以下の通り。
1. コミュニケーション
対人モード:受講者間の質疑応答、話の結末予測・感想等の話合い
解釈モード:短編の読み、ビデオ視聴
発表モード:感想文の個人発表、自作短編のグループ発表
2. 文化:文化的慣行と発想、文化的産物と発想の関係について知り、理解。
3. 連結:各ジャンルの代表的短編を読むことにより、日本の短編、各ジャンルついて学習。日本語を通してのみ知り得る日本特有の観点についての知識も取得。
4. 比較:テキスト、内容、教訓等に関して言語的・文化的比較。
5. コミュニティ:教室内外で、また生涯学習者として日本語を読みディスカッションができるように準備。