SLAにおけるCMC研究は、90年代初頭に対面式との比較研究に始まり、 タスク別のコミュニケーションストラテジーなど多義にわたる効果研究や、チャ ットと掲示板などタイプの異なるCMCでの使用言語の検証等、研究に広がりを見せ ている。また、先行研究では学習者のCMCコーパスを用いたアプリケーションの可 能性や有効性も指摘されているが、具体的な研究開発はまだほとんど行われてい ない。第二言語習得研究において、学習者の自分の言語の間違いへの気付きは言 語習得を促すものとして指摘されているが、学習者のCMC言語を利用したアクティ ビティを教室内外で行うことによって、学習者が言葉の使い方に敏感になり、気 付きを促進することも期待される。
前研究(拙稿)では、教師と学習者双方がCMCデータを利用できるアプリケーショ ンの開発を試みた。具体的には、教師側が学習者のCMCデータの管理ができ、コン コーダンサーツールを用いて言語分析ができる教師用のアプリケーションと、学 習者側もツールを用いて、自分の過去のデータを模範例(教科書や母語話者の例 文)と比較しながら自分の言語を省みることができる学習者用のアプリケーショ ンの開発である。
本研究ではそのアプリケーションを実際にコースカリキュラムに取り入れた実践 報告をする。学習者の言語データやレビューログ、また、トラッキングツールを 通して、実際に教師と学習者がどのようにアプリケーションを使用しているのか を見ていく。教師側が学習者に与えた具体的な課題や、学習者が自分の言語を調 べて気付きに結びついた例などを紹介しながら、アプリケーションの検証をした い。