本研究の目的は、中上級の日本語力がありながら、日本の大学で授業を受けるために要求されるレポート作成能力が足りない学習者のために、効果的な作文学習を提案し、個別学習ができるような教材開発を行うことにある。そのための基礎研究として、現在筆者が日本の大学で行っている留学生対象の作文授業、日本語作文IIA(2004年度1学期)での実践と受講者への授業評価アンケート結果を報告し、上級の日本語学習者(日本語能力検定1級合格程度)の必要とする学習内容を中心に考察する。
世界各国で日本語教育が盛んになるにつれ、来日時にすでに中上級の日本語能力を持つ留学生が多く見られるようになった。しかし、来日してすぐ大学または大学院の授業に参加しても、レポート作成などに必要な作文能力が不十分な留学生の存在が専門指導の教員から指摘されている。
このような上級の日本語学習者の作文学習では次の2点が重要である。すなわち、(1)構成・表現・内容の整ったレポート作成を目指して、作文練習からレポート作成へつながる授業を行うこと、(2)学習者の作文の何を添削するか、特に従来の誤用分析では見えない添削項目として「客観的表現」で書けること、である。
以上を踏まえ、留学生と日本人学生の作文を調査した結果に基づいて作文教材および作文学習の方法を開発すること、および、留学生に足りない文章表現力を考慮した作文教材および作文学習の方法を開発することの重要性を提言する。