コンテント・ベース授業(CBI)の重要性は90年代半ばごろから 英 語を初めとする外国語教育の分野で指摘されてきた。Brinton & Master (1997)は外国語におけるCBIを(1)何かのテーマを中心 に行われる言語の授業、(2)言語能力の限られた学習者の理解 を促進するよう教科内容を簡略化・組織化した授業(sheltered content-area courses)と定義し、言語と内容の学習はお互いに欠 かせないものであるとしている。ナショナルスタンダードの5C's にもConnectionsとして言語と教科学習を結びつける必要性が盛り 込まれている。日本語教育においてもCBIには高い関心が寄せられ ているが、具体的に米国の大学レベルでどのように実践されてい るかはまだ報告例が少ない。言語の専門家である教師側もどこま で内容を重視していいものか、言語指導をどの範囲内で進めてい くべきなのか、等課題は多く、今だ試行錯誤の段階である。この パネルでは、学習者の言語力、授業方法、目的、トピック、学習 環境など、それぞれ異なった設定で行われたCBIの実践例を三つ報 告する。発表1ではジャーナルを書くという作業を通じて初中級 レベルで行えるCBIについて考察を行う。発表2では中上級レベル で新聞を使って言語学習と内容学習をどう結びつけられるかを考 える。発表3では「シカゴ日系人史」をテーマに、CBIから一歩越 えたコンテント・コミュニティーベースの授業の実践例を紹介す る。最後にまとめとして、日本語教育におけるCBIの意義、重要 性、現場への応用、その効果、そして今後の可能性について考察 し、問題提起を行う。