日本語教育におけるテクノロジー使用が進む中、日本語教師が ITリテラシーを身につけることの重要性が指摘されている。こ れまで、教師に必要なITスキル、研修と実践の結び付き等につ いて数々の提言がなされてきた。一方、近年語学教育と教員養成 プログラムにおいて、ポートフォリオ中心のアセスメントが注目 を集めている。本稿は、この二つの潮流に注目し、大学院生向け の教授法トレーニングの一環としてプロセス重視のEポートフォ リオ(EP)を取り入れた、その実践報告である。報告を通し、 現職の教師及び大学院生のEPを媒介とした自己研修コミュニ ティー育成の可能性を探っていきたい。
教員養成プログラムにおけるEPは、概して参加者のベストパ フォーマンスの集積という性格を帯びることが多い。しかしある 期間を通して変化発展を自己確認するというEP本来の可能性 が、自己研修の目的に沿うことはいうまでもない。「プロセス重 視のEP」においては、研修の初期段階から参加者が実践のビデ オクリップ、自作教材等をウェブ上に載せていき、参加者間でそ れを基に意見交換する機会を設けた。本稿では、参加者七名の四 ヶ月に渡る活動の概要を紹介し、インタビューを基にして改善点 をまとめる。
自己研修EPは(1)ウェブサイト作成に参加する過程で教師 として必要なITスキルを身につける、(2)自分の教え方、特 にテーマを絞った短いセグメントを集中して観察する機会を増や し、学期中どのように変化したか把握する、(3)参加者がお互 いを観察し活発に意見交換する場を提供し、自己研修コミュニ ティーを育成する等の効果があり、現職の教員間への応用も期待 される試みと言えよう。