バイリンガル児童の二つの言語での読みの同時習得は、モノリンガル児童による第一言語習得、または成人ですでに第一言語で読みの高度なスキルを習得した学習者の第二言語の読みの習得と比べ、そのプロセスはより複雑で困難をともなうことが予想される(Bialystok, 2001)が、読みの習得研究は成人の学習者を対象にしたものが多く、子供の場合でもスペイン語と英語のように二言語の正字法(orthography)が似ている場合の研究(Jimenez, Garcia and Pearson, 1995)に限られている。
.成人のバイリンガルを対象とした先行研究では、第一言語と第二言語がともに高度に発達している場合は、各言語固有の読みのストラテジーの使用が見られるが、第二言語での読みが弱い場合は、第一言語で使われるストラテジーの第二言語への移行があるという結果が出ている(Rickard Liow, Green, and Tam ,1999)。また、同じく成人の学習者でオーラルの力は第二言語も高度に発達していても、読みになると、第一言語と第二言語では読みのスピードに差がでるという結果や、第二言語のオーラルは高度に発達しているバイリンガルでも第二言語での読みは第一言語に比べて難しいと感じているという報告がある(Bialystok, 2001)
以上の先行研究の知見をもとに、本発表では、正字法のことなる日本語―英語を同時習得するバイリンガル児の読みの習得の縦断調査の結果報告を行う。 データーは、Reading Miscue(Goodman、Watson, & Burke, 1987)を使って収集し、日本語、英語の読みのストラテジーの特徴、decoding の力と認知のプロセス(読みのスピード)との関係、および一年半の間の二言語での読みの特徴の変化の三項目にわたって分析を試みた。