コンテントベースの授業はナショナルスタンダードの5C'sを統 合できる理想的な外国語教育であるにもかかわらず、米国の大学 レベルの日本語教育においては、まだその理想に合うレベルでは 進められていないのが現状である。新しい「知識」を得ることを 目標とし「内容」重視の授業を進めようとすると、学習者の言語 能力の不足や言語使用が可能な環境設定の難しさ等から、その内 容が大学生の知的レベルに達することなく、表面的な「日本文化 一般論」に終わってしまいがちである。そこで、今発表ではコン テント・コミュニティーベースの授業の試みとして行われた上級 コース「シカゴ日系人史」について報告する。コースの目的は (1)上級レベルの日本語能力、特に読み・書きの能力を高める こと、(2)米国及びシカゴにおける戦前、戦中、戦後の一〜三 世に渡る日系人史について理解を深めること、(3)日本人の間 で比較的知られていない米国日系人史について一般に理解を高め てもらうため日本語でウエブサイトを設置すること、とした。主 な学習活動は、日英語でのビデオ・映画・文献を基に基礎知識を 備え、シカゴ在住の二、三世日系人にインタビューをし、その結 果を学期末のレポートとしてまとめることであった。地元シカゴ のコミュニティーの協力によって行われたこのコンテント・コ ミュニティーベースの授業についての利点、問題点、将来への提 案について考察する。