Heritage SIG: Panel
継承日本語教育におけるマルチエイジ/マルチレベルカリキュラム
(Multiage/multilevel Curricula in Japanese Heritage Language Education)
継承日本語教育の現場における課題の一つに、継承日本語 話者の言語的背景の多様性に対応したカリキュラムの作成があげられよう。一クラスで学習する同年齢の児童生徒の日本語力の差が非常に大きい場合、クラスを 言語能力別に編成することによって教材や指導法の選択がしやすくなり、また日 本語力の低い子ども達も自信をつけることができる。しかし、実際にはさまざま な理由から、その実現は難しく、マルチレベル、マルチエイジのクラス編成を考慮に入れた、有効的なカリキュラムや教材の作成、指導法の確立が求められている。そしてそのためには、まず学習者の特徴を知る必要がある。
今までの調査では、継承日本語話者の共通する特徴として、聴解力、会話力は高 くても、識字力、書く力が弱い、ということまではわかっているが、より詳しい言語的な特徴はあまり研究されていない。そのような調査を困難にする要因の一 つとして、被験者の獲得が非常に困難であり、過去においては限られた少数の被験者での調査、研究がほとんどであったことがあげられる。本研究では、小学校 1年生から中学3年生までの約1500人を対象に集められた日本語の語彙、助詞、文型、漢字、及び英語の語彙の5項目に関するデータをもとに、継承日本語話者が日本で育った子供達と比較して、どの分野においてどんな特徴を持っているのか、 また年齢的にはいつ頃から、どの分野で、どのように差がでてくるのか、などの点に焦点を当て、継承日本語話者のより詳しい言語的共通点を明かにする。その結果、どのよな指導を必要としているのか、またどのようなクラス編成が可能かを探る。