Paper Title

母音の長さに関するエラーの分析:英語・中国語話者のケース
(Phonological Errors in Japanese by Native Speakers of English and Chinese)

Author's Name, E-mail Address and Institution

Makiko Asano, masano@sfsu.edu, San Francisco State University

Abstract

日本語の母音の長さは習得が難しい。実際「高校〜ここ」のように長・短母音の別が意味をわける言葉がある言語は世界でも数少なく、母語音韻体系が外国語習得に影響を及ぼすことを考えると、母音の長さを学習者が聞き分け、話し分けるのが至難の技であるのは当然とも言える。音声学的に見ても、日本語を母語とする話者の長・短母音の長さ比は必ずしも2:1ではなく、ピッチや単語内での母音の位置、発話の速度など、様々な要素によって変化する。

本稿ではこうした音声学的な考察を踏まえ、さらに音韻論的な見地から長・短母音エラーの起こりやすい環境と母語の干渉について論じる。予備調査として、日本語教師12名に「母音の長短に関するエラーが頻繁に起こる単語は?」と質問したところ、「辞書」を「じしょう」と母音延長したり、「番号」を「ばんご」と母音短縮したりするエラーが繰り返し指摘された。つまり、エラーは無作為ではなく、間違いが起こりやすい語があるのである。そこで、英語を母語とする87名、中国語を母語とする26名の学習者に46語の基礎語彙からなる英単語和訳の筆記試験を行い、母音の長さに関するエラーの起こりやすい環境を分析した。その結果、母音 [o] または [oo] を含む音節、そして拗音を含む音節に母音の長さに関するエラーが起こりやすいことがわかった。

また、英語話者の総エラー数は回答中29.9%を占め、その中で母音の長さに関するエラーが40.0%を占めた。一方、中国語話者の総エラー数は回答中32.2%、そのうち母音の長さに関するエラーは 29.1% であった。本稿では、この数値の差に見られる母語の干渉とエラー体系の考察をも行う。


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