現在、日本の公立小中学校にはポルトガル語やスペイン語を継 承語とする日系子女が多数在籍している。しかし家庭言語と学習言語が異なる言語形成期 の少数言語を母語とする子女の言語発達については調査が少なく、現地語と継承語の言語 能力の実態は把握されていない。
本研究では、スペイン語を継承語とするペルー系日系子女の言語能力の実態を知るた め、Bilingual Verbal Ability Tests(以下BVAT)を使用してスペイン語及び日本語の語彙 テストと言語使用・環境インタビューを行った。
BVATは二言語による語彙テストであり、英語力(L2)及び二言語能力(L1とL2)を測定で きる。教科学習に必要なCALPの測定を目的として開発されている点、二言語能力を測定で きる点から少数言語学童の言語能力測定に有効と考え、L2を日本語、L1をスペイン語と置 き換えて使用した。
調査の結果から、次のように利点及び問題点があげられる。
利点
1.滞在年数や年齢が異なる子女を対象に統一的な言語調査を行うには、BVATのような到
達度テストが有効である。
2.L2の日本語が低い子女の場合、二言語の総合スコアをみることで単に言葉の問題なの
かどうか判断する目安となる。
問題点
1.英語をL2として開発されているため米文化の知識が基本にあり、文化的知識を含めた
日本語能力は測定できない。