本研究の目的は、日本語の相談の談話構造を解明し、相談者・回答 者・司会者の発話の特徴を考察することである。「相談」とは、相談者が専門知識を持つ専門 家(回答者)に相談し助言を受ける談話である。能田(1996)とザトラウスキー(1991,1993)を 参考に、NHKラジオの医療と心理の相談番組、6資料(相談者数25名)を分析した。分析方法は、 全体を「談話」、下位要素として、番組編成上の区分を「大話段」、更に、参加者の役割や目的 によって区切られる内容上のまとまりを「話段」と認定する。そして、全発話を主に〈情報要 求〉〈情報提供〉を細分した6類44種で分析する。
分析の結果、各相談者の相談の構造は「A.相談紹介の話段」「B.開始の挨拶の話段」「C. 相談の話段」「D.終了の挨拶の話段」の4話段からなることがわかった。「C.相談の話段」は、 更に「相談内容確認」「回答」「回答確認」の話段に分けられる。「相談内容確認の話段」は、回答 者が的確に回答する為に、相談者から直接情報を引き出す重要な話段である。 発話機能の特徴として、「相談内容確認の話段」では、回答者は主に〈確認要求〉〈判定要 求〉〈説明要求〉で情報を要求し、相談者は〈肯定〉〈否定〉〈事実説明〉で情報を提供 する。「回答の話段」では、回答者が〈事実説明〉〈見解表明〉で回答し、〈評価表明〉(医療 相談では「〜方がいいです。」)〈単独行為要求〉(心理相談では「〜たらどうですか。」)で助 言するなど、各話段における参加者の発話機能が異なることが観察された。
本研究は、日本語の会話教育において、談話構造の提示の必要性を説くと共に、会話教材 の作成にも役立つと考える。