本稿では、日本語の「確認質問の単純質問」(南1997)に対し てどのように返答が作り上げられているのかを、主に新聞の医療相談を資料として考察す る。分析に際しては「返答」は質問に対する回答全て、「答え」は質問に対する直接の答 えのみを指すとする。「確認質問の単純質問」は「はい/いいえ」で返答できる質問であ るが、約100例を見ると、「はい/いいえ」等の語句が出現する率は極めて低い。また質問 に対する答えと認定できるものが返答の初めの位置に出現する例は少なく、大部分の例で は中か終わりの位置で出現している。つまり、質問の直後に「はい/いいえ」で返答でき るのに、(1)に示すように返答にはまず「前置き」が置かれ、次に答えが来ているので ある。
| (1) | 質問 | ... | これも主婦湿疹なのでしょうか。 |
| 返答 | 前置き | 主婦湿疹には、じくじくした湿疹型と硬くなって | |
| ひび割れる乾燥型があります。 | |||
| 答え | ご質問の症状は後者で「進行性指掌角皮症 | ||
| (ししょうかくひしょう)」と言います。 |
前置きを分析した結果、返答者が返答を分かりやすくするための語句を詳しく説明する ために用いている場合が多い。前置きを開始する文には、病気の種類(「AにはBとCが ある」)、病気の定義(「AはBだ」)、病気の上位概念を引き起こす原因(「AがBす ることがある」)、病気の発症時期(「AからBが始まる」)等の例が見られた。
日本語教育をする際には、「確認質問の単純質問」の返答の、前置き−答えというテキ スト構造を教えることで、学習者が日本語の返答が理解できるようになり、不必要な誤解 や摩擦が回避できると考えられる。