筆者らは昭和61〜63年度に全国の約 20万人の小・中学生を対象 に、日本語力を構成する語彙、助詞、漢字、文型、指示語、前提、含意の7項目について その習得状況を調査し、発達基準を標準化した。語彙力を測定する問題は小学校1年から 高校生まで学年別(中学校は同一問題、高等学校は困難度別の複数の問題)に用意し、そ の中には各学年相当の問題の他、若干の上下の学年と同じ問題を含めた。7項目の因子分 析の結果、日本語力のテストは1因子性が高いこと、すなわち、語彙テストの高得点者は 他のテストでも同じように高得点が取れたことが分かった。
そこで、調査結果の統計処理により小1から高3まで、1つの連続した尺度を作成し、語 彙力による以下の日本語力テストを作成した。幼稚園児用、小学校1,2年生用、3,4年用、 5,6年生用、中学生用、高校・大学生用の問題冊子による6種類のプレースメントテスト である。さらに、コンピュータを利用した適応方テストも作成した。
さて、日本語力が不明な海外に居住する日本人子弟や帰国子女の日本語語彙力を評価し ようとする際、例えばその生徒が中学生であっても、実際の語彙力は小学生レベルである か中学生レベルであるかは予測ができない。そこで、ペ−パ−テストによって能力を評価 する場合、まず小学校高学年用の問題を解かせてみて、ほとんどが正解であれば中学生用 問題と進み、それらの正答率等から実力を評価する。正答率が低い場合は順に、小学校中 学年、低学年用へ進む。日本語力テストと英語力テストを用いて海外在住・帰国子女の言 語力評価を行い、多くの知見を得た。