米国では学部、大学院とも、日本語教師養成は主に初級・中級 を 中心として行われている。また、上級は講師か教授が教えている学 校も少なくない。従って、大学院で日本語教育を学び、大学に講師 や助教授として就職した場合、上級の教授法について全く無知で あったり、上級日本語教授法のコースは履修していても現場の経験 がないため、教え方がよく分からないまま上級を担当するというこ とをよく耳にする。しかしながら、就職においても高度の語学力を 期待される昨今、質の高い上級教育が行える即戦力を養うことは重 要である。
そのため、筆者の大学では、三年前から筆者が中上級を担当する 院生助手(TA)三人の指導に当たり、実際の教室活動は敢えてTA にさせるという形をとっている。これらのTAは既に初級を問題な く教えられる者ばかりだが、中上級で問題になる日本語の構造上の 問題、談話の知識、あるいは習得段階で起きる問題については知識 不足である。また、上級では教材も読解用は多いが、四技能を体系 的に伸ばすのに適する類は少ない。従って、教案の作成や副教材の 選択、シラバスデザイン、授業の行い方はもとより、学習者への対 応の仕方やビデオの使い方等細かい指導が必要となる。このため、 学期が始まる一ヶ月ほど前から教材分析等を通してTAの指導を始 めている。また、学期中は教案や副教材の指導の他、TAには毎週 自分の授業をビデオに撮り、自己反省と共に筆者に提出させ、筆者 は書面でビデオの授業に対するフィードバックを出している。
今回の発表ではこの現場での指導にあたっての諸問題について述 べると共に、上級日本語教育で大事だと思われる技能や知識の分析 をする。