本研究では、サンフランシスコならびにサンフランシスコ近郊の日 本語補習校に通う児童の日英二言語間の嗜好、選択、達成レベルについて検証する。各児 童のバイリンガル言語能力を測定する目的で、バイリンガル言語能力検査(Muño z-Sandoval, Cummins, Alvarado, Ruef, 1998)を実施した。同時に、バイリンガル 児 童の母親(日本人)へのインタビューも行った。バイリンガル言語能力検査では、バイリ ンガル児童の日英両語の語彙に強い相関関係が認められた。例えば、第 一言語の日本語で の語彙を多く習得している児童は、第二言語である英語の語彙も多く習得しているという ことが認められたのである。つまり、日本語能力検査の 結果と英語能力検査の結果には互 いに関連があるということが発見された。バイリンガル児童の第一言語、第二言語いずれ の言語においても、一方の言語の発達が 他方の言語の発達に関わりがあるということを、 本研究の結果は示唆している。しかしながら、日系児童の日本語能力検査の結果と、英語 能力検査の結果を比較す ると、こうした児童が日本人を母親に持っているにもかかわら ず、日本語能力よりも英語能力の方が優れているということがわかった。母親へのインタビューの 結果でも、日本人の母親が継承言語 として日系児童の日本語を維持してゆこうと懸命に努力しているにも関わらず、日系児童 は日本語よりも英語を選択、使用する ことが明らかになった。本研究で得られた結果はバ イリンガリズム・バイカルチュラリズムを推進してゆくうえで重要な意味を示唆してい る。