継承語として日本語を学ぶ学習者のニーズを考える時、学習者が とくに年少である場合には、保護者が考えるニーズを無視できない。これは、家庭の協力 を得て子供達の継承日本語の維持発達を目指すという教育上の理由と、学校運営の唯一の 財源が授業料である学校にとっては、生徒確保と学校存続にかかわる経営上の問題でもあ る。しかし、このニーズと教育者側のニーズ分析が必ずしも相容れるものではないことが 問題となる。
その一つが、国語教科書の継承日本語教育への教材としての利用である。いうまでもな く、国語教科書は、日本語母国語話者の読み・書き能力を発達させる為の教材であり、継 承日本語教育の教材として作られたものではない。しかし、日本で国語教育をうけ、アメ リカに新1世として永住する保護者にとっては、子供の学習の進度を測る唯一の基準が国 語教科書のどのレベルを使っているかということであり、国語教科書を全く無視したカリ キュラムはFace Validityが無い。
当発表は、国語教科書の学習目標分析と、継承日本語教育の立場からの学習者の言語、 認知力、社会性、情緒、motor skillsにおけるニーズ分析との比較を通じて国語教科書の 部分的利用の可能性を考える。分析の結果として、以下の項目を論じる。
1.継承日本語教育に利用できる学習活動のコンストラクトの抽出。 2.国語教育で伝統的に行われている音読指導をReading Miscue (Goodman, 1987) 方法 を用いて行う。 3.当分析で用いたrubricをテンプレートとして利用する可能性。
参考文献
Goodman Y., Watson D.J. & Burke C. 1987. Reading Miscue Inventory.