日本語獲得と継承語喪失のダイナミックス

ー日本の小・中学校のポルトガル語話者の実態を踏まえてー
中島和子/ロザナ・ヌナス(トロント大学)
nakajima@chass.utoronto.ca
rnunes@chass.utoronto.ca

April 4, 2001
copyrtight 2001 K. Nakajima

本文へ

参考文献

カナダ日本語教育振興会 2000. 『子どもの会話力の見方と評価ーバイリンガル会話テスト(OBC)の開発ー』Welland, Ontario: Editions Soleil Publishing.(凡人社販売)

Collier, V.P. 1987 Age and rate of acquisition of second language for academic purposes. TESOL Quarterly. 21: 617-641.

Cummins, J., M. Swain, K. Nakajima, J. Handscombe, D. Green & C. Tran. 1984. Linguistic interdependence among Japanese and Vietnamese immigrant students. In Rivera, C. (ed.), Communicative Competence Approaches to Language Proficiency Assessment: Research and Applications. Clevedon: Multilingual Matters. 60-81.

Cummins, J. & K. Nakajima. 1985. 「トロント補習校小学生の二言語の構造」『バイリンガル・バイカルチュラル教育の現状と課題』 東京学芸大学海外子女教育センター 143-179.

Cummins, J. & M. Swain. 1986. Bilingualism in Education. New York: Longman.

Cummins, J. The development of bilingual proficiency from home to school: A longditudinal study of Portuguese-speaking children. Journal of Education. 173:2:85-98.

Doughty, C. & M.L. Long. 2000. Eliciting Second Language Speech Data. In Menn, L. & Bernstein Ratner, N. edit., Methods for Studying Language Production. New Jersey: Lawrence Erlbaum Associates.

Hamers, J.F. and Blanc, M. H. 1989. Bilinguality and Bilingualism. Cambridge: Cambridge University Press.

石井恵理子 1999. 「ポルトガル語を母語とする在日外国人児童生徒の言語教育に関する父母の意識」第7回国立国語研究所国際シンポジュム専門部会口頭発表論文 

Kresmer, H. 1994. Assessment and teacher perceptions of ESL student achievement. English Quarterly. 26(3): 8-11.

Munoz-Sandoral, F.A., J. Cummins, C.G. Alivarado & M.L. Ruef. 1998. Bilingual Verbal Ability Tests. IL: Riverside Publishing.

中島和子 1998. 『バイリンガル教育の方法』(アルク)

中島和子 2001. 「こどもを対象とした活用法」牧野成一ほか『ACTFL-OPI入門 ー 日本語学習者の「話す力」を客観的に測る』(アルク) pp. 152-169.

野山広 2000. 「地域社会における年少者への日本語教育の現状と課題」山本雅代編著『日本のバイリンガル教育』(明石書店) 165-212.

岡崎敏雄. 1998. 「年少者日本語教育に関する教師の言語教育観」『日本語科学』4 国立国語研究所

Okazaki,T. 1999. Interrelationships between children's L2 acquisition, L1 maintenance, and interdependence. Paper presented for the symposium on "Minority Language Children in Japanese Schools," at the International Conference of Applied Linguistics (AILA), Waseda University, Tokyo, Japan. August 10, 1999.

Sung, H. & Padilla, A.M. 1998. Student Motivation, parental attitudes, and involvement in the learning of Asian languages in elementary and secondary schools. 1998. The Modern Language Journal. 82:205-216.

Wong Fillmore, L. 1991. When learning a second language means losing the first. Early Childhood Research Quarterly. 6: 323-346.



添付資料
会話サンプル
『ACTFL-OPI入門-日本語学習者の「話す力」を客観的に測る』(アルク2000)より一部転載

[導入会話]

*[・]はテスターの質問、( )はコメントや正解、下線部は問題となる箇所

・お名前を教えて下さい。 「サントス・ロドリゴ(仮名)」
・(日本の学校では)何年生ですか。 「3年生」
・いくつですか。 「8」(8歳)
・お誕生日はいつですか。 「なんだったっけ。何月だっけ。何日・・・。わすれちゃったな。」
・お姉さん/お兄さんがいますか。 「お兄さんとお姉さん、弟いません。妹いる。」
・何人家族ですか。 「6人」
・友達がいますか。 「いる」
・友達の名前は? 「うご(ペルー人の友達の名)」
・どんなことをして遊びますか。 「サッカー」
・うごさんとは日本語で遊びますか。 「話します。ペルーで話す」(スペイン語)
・(お姉さん)とはポルトガル語で話しますか。 日本で話す」(日本語)
・お父さんとお母さんとも日本語で話しますか。 「あんま話さない」
・どんな動物が好きですか。 「ハムスターだっけ」 (テスターのほうを見て確かめる)
・どうして好きですか。 「やさしいから」
・日本の学校で好きなことは何ですか。 「勉強。引き算」
・日本の学校できらいなことは何ですか。 「けんかだけ」

[対話タスク]

1.電話で伝言を受ける
・ロドリゴさんは家にいます。お母さんはいません。電話がかかってきました。電話に出て下さい。そして、名前と電話番号を聞いて下さい。ツルー、ツルー。
「もしもし」
・もしもし、ロドリゴさんのお宅ですか。 「そう」
・お母さんいらっしゃいますか。 いらっしゃいません」(敬体の使用)
・いつお帰りになりますか。 「もうすぐ」
・そうですか、じゃおかえりになったらすぐ電話してくださいと伝えて下さい。 「はい」
・山田です。電話番号は222ー1234です。 「あ、はい。はい」
・お母さんが帰ってきました。(テスター自身をさして)
・お母さんです。(テスターが会話を始める)
 
・ただいま。電話あった? 「お帰り。おかあさん、さっき山田さんから電話がありました
・(内容をいわないので)何ですって? 「電話して下さいって言ったんです
(親にです・ます体使用)
・そう、どうもありがとう。  

2.誘う
・今日はロドリゴさんのお誕生日です。家でお誕生日パーティーをします。ケーキを食べて、その後ゲームをして遊びたいと思っています。うごさんを誘ってください。
学校の門のところで会いました。 「うご、今日、うちんち来ないか」
・うん、いいよ。いつ行ったらいい? 「学校の勉強してから来てよ」
・うん、じゃ、宿題終わったら行くね。 「うん」
・じゃ、また後で。 「うん」

3.問い合わせ
・ロドリゴさんは土曜日にプールに行きたいです。でも、土曜日に開いているか、何時から開くか、いくらかかるか、わかりません。プールに電話していろいろ聞いてください。そして、最後にお礼を言ってください。リーン、リーン。
・はい、市民プールです。 「はい、プール、何時に開きますか」
・朝9時からやっています。 ににんでいくらかかりますか」(ふたり)
・大人ですか、子どもですか。 「子ども」
・子どもは200円です。ほかに何か。 「ありません」
・それで、いいですか。 いい」(お礼を言っていない)

[認知タスク]

1.物語
・小さい子どもが何かお話してと頼みました。
お話をしてあげてください。
ありません。わかりません。なかなか話とか見ないの」(読まないの)
・じゃ、この絵を見て話してください。 「ある猫が、ずっと魚の、食べ物を探してました。で、そこがたべられるものがなかなかたべられるとこがちさくって、ミルクを飲みました。で、逃げた」(話体の統一を欠く)

2.地球
・地球が泣いています。どうして泣いていると思いますか。
「みんなが木を切ったり、煙をだしたりとか、ごみを川にすてたり」
・どうすればいいと思いますか。 「木を切らないで、車の空もっときれいにさせて、川に(して、川にごみを捨てないようにする)」

3.学校の比較
・ブラジルの学校と日本の学校は違うところがありますか。
「ある」
・どこが違いますか。 「字と黒板。黒板はこっち、・・・(聞き取れない)ブラジルの黒板は小さいの、日本のは大きい」
・家はどうですか。 「うちは違うと思うよ。ブラジルは1っこ、日本は2こ」(1階建て、2階建て)
・食べ物は? 「おにぎりとご飯だけ。ブラジルの塩入れるの、日本入れないじゃん」

本文へ
Back to ATJ seminar 2001 Heritage Panel Main Page
Back to ATJ seminar 2001 Main Page
Back to ATJ seminar Main Page
Back to JapaneseTeaching.org Main Page



Mail ATJ: atj@colorado.edu
279 UCB, Boulder, CO 80309-0279
Phone: (303) 492-5487 FAX: (303) 492-5856